06. [資料]スペイン1978年憲法〈新訳〉
池田 実『(参憲資料第6号)スペイン憲法概要』(参議院憲法調査会事務局、2001年8月)25〜69頁
附属資料(スペイン憲法〈新訳〉)
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※各条文の[ ]は読者の便宜のため訳者(池田)が独自に付した見出しである。
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スペイン国王ドン・フアン・カルロスは、これを見て理解するすべての者に、国会が以下の憲法を可決し、スペイン国民がこれを承認したことを知らしむ。
前文
スペイン国民は、正義、自由及び安全を確立し、並びに国民全体の福祉を増進することを念願して、主権を行使し、次のとおり意思を宣言する。
憲法及び法律の範囲内において、公正な経済的及び社会的秩序に従い、民主的共同生活を保障すること。
国民の意思の表明として、法の支配を確保する法治国家を強化すること。
すべてのスペイン人及びスペイン各地域の住民が人権、その文化及び伝統、並びに言語及び制度を行使する際に、これを保護すること。
すべての人々に価値ある生活の質を保障するために、文化及び経済の発展を促進すること。
進んだ民主的社会を確立すること、並びに、
世界のすべての諸国民の間の、平和的関係及び実効性のある協力の強化に協力すること。
それゆえ、国会は以下の憲法を可決し、スペイン国民はこれを承認する。
憲法
序編
第1条 [法治国家、国民主権、議会君主制]
① スペインは、社会的かつ民主的な法治国家として構成され、その法秩序の最高の価値として、自由、正義、平等及び政治的多元主義を擁護する。
② 国家の主権はスペイン国民に存し、すべての国家権力はスペイン国民に由来する。
③ スペイン国家の政治形態は、議会君主制である。
第2条 [国家の統一性、自治権]
憲法は、スペイン国民の解消不可能な統一性、すなわち、すべてのスペイン人の共通かつ不可分の祖国に基礎を置き、これを構成する諸民族及び諸地域の自治権、並びにこれらすべての間の連帯を承認し、かつ保障する。
第3条 [公用語]
① カスティージャ語は、スペイン国の公用語である。すべてのスペイン人は、これを解する義務を負い、かつこれを使用する権利を有する。
② スペインの他の言語もまた、各自治州において、その自治憲章に基づき、これを公用語とする。
③ スペインの言語の豊かな多様性は、文化遺産であり、特別の尊重及び保護の対象とされる。
第4条 [国旗、州旗]
① スペイン国旗は、赤、黄、赤の3本の水平縞地から成り、黄の縞地は、赤の縞地の2倍幅とする。
② 自治憲章により、自治州固有の旗及び記章を定めることができる。自治州旗及び自治州記章は、自治州の公共建造物及び公式行事において、スペイン国旗とともにこれを用いる。
第5条 [首都]
国の首都は、マドリード市である。
第6条 [政党]
政党は、政治的多元主義を表現するものであり、国民意思の形成及び表明に影響を及ぼし、かつ政治参加の基本的手段となる。政党の結成及びその活動の遂行は、憲法及び法律を尊重する限りにおいて、自由である。政党の内部構造及び機能は、民主的でなければならない。
第7条 [労働組合、使用者団体]
労働組合及び使用者団体は、その固有の経済的及び社会的利益の擁護及び増進に貢献する。労働組合及び使用者団体の結成及び活動の遂行は、憲法及び法律を尊重する限りにおいて、自由である。労働組合及び使用者団体の内部組織及び機能は、民主的でなければならない。
第8条 [軍隊]
① 陸軍、海軍及び空軍により構成される軍隊は、スペインの主権及び独立を保障し、領土の一体性及び憲法秩序を防衛することを使命とする。
② 軍隊組織の基礎は、本憲法の原則に従い、組織法でこれを定める。
第9条 [憲法・公権力の役割]
① 市民及び公権力は、憲法その他の法秩序に従う。
② 公権力は、個人及び個人の所属する団体の自由及び平等が現実的かつ実効的なものとなるよう条件を整備すること、また、自由及び平等の充実を妨げ又は困難にする障害を除去し、政治的、経済的、文化的及び社会的生活におけるすべての市民の参加を促進することを、その任務とする。
③ 憲法は、合法性の原則、法規範の序列、法規範の公知、個人の権利に不利益となり又はこれを制限する刑罰法規の不遡及、法的安定性、並びに公権力の責任及び専断的行使の禁止を保障する。
第1編 基本的な権利及び義務
第10条 [基本的人権の尊重]
① 人間の尊厳、人間の生来の侵すことのできない権利、人格の自由な発展、並びに法及び他人の権利の尊重は、政治秩序及び社会平和の基礎である。
② 憲法に定める基本的権利及び自由に関する規範は、世界人権宣言並びにスペインが批准した人権に関する国際条約及び国際協定に従って、これを解釈する。
第1章 スペイン人及び外国人
第11条 [国籍]
① スペイン国籍は、法律の定めるところに従って、これを取得し、保持し及び喪失する。
② 生来のスペイン人は、何人もその国籍を奪われない。
③ 国は、イベロアメリカ諸国又は過去若しくは現在においてスペインと特別の関係を有する国々と、二重国籍に関する条約を締結することができる。これらの国々においては、その市民に互恵的権利が認められていない場合にも、スペイン人は、生来の国籍を失うことなく、帰化することができる。
第12条 [成年]
スペイン人は、18歳を以て成年とする。
第13条 [外国人の権利]
① 外国人は、スペインにおいて、条約及び法律に定める条件の下に、本編が保障する公的自由を享受する。
② 第23条で定める諸権利は、スペイン人のみがこれを有する。但し、互恵主義の原則に留意して、条約又は法律により、市町村選挙における選挙権及び被選挙権を定める場合は、この限りではない。
③ 犯罪人引渡しは、互恵主義の原則に留意して、条約又は法律を遵守する場合にのみ、これを認める。政治犯は、犯罪人引渡しから除外される。但し、テロ行為は、これを政治犯とみなさない。
④ 外国の市民及び無国籍者が、スペインにおいて庇護権を享受し得る条件は、法律でこれを定める。
第2章 権利及び自由
第14条 [法の前の平等]
スペイン人は、法の前に平等であり、出生、人種、性別、宗教、意見その他個人的又は社会的な条件又は状況を理由とするいかなる差別も広まることがあってはならない。
第1節 基本的権利及び公的自由
第15条 [生命権、拷問の禁止、死刑の廃止]
何人も、生命、並びに身体及び精神の完全性に対する権利を有し、いかなる場合にも、拷問、又は非人道的若しくは品位を貶める刑罰若しくは取扱いを受けることがあってはならない。死刑は、これを廃止する。但し、戦時のために軍事刑法が定める場合は、この限りではない。
第16条 [思想・宗教の自由、国教の禁止、公権力と教会の協力関係]
① 個人及び団体の思想、宗教及び礼拝の自由は、これを保障する。その表明については、法律により保護される公の秩序の維持に必要な範囲を超える制限を受けない。
② 何人も、その思想、宗教又は信仰を表明することを強制されない。
③ いかなる宗派も国家的性格をもたない。公権力は、スペイン社会の宗教的信条を考慮し、カトリック教会及びその他の宗派との当然の協力関係を維持する。
第17条 [自由及び安全に対する権利、法定手続の保障]
① 何人も、自由及び安全に対する権利を有する。何人も、本条の定めるところに従い、かつ法律に定める場合及び形式によるのでなければ、その自由を奪われない。
② 予防拘禁は、事実の解明を目的とする捜査の遂行に必要な最小限度の期間を超えることができず、いかなる場合にも、拘禁された者は、最大72時間以内に釈放され又は司法官憲に引渡されなければならない。
③ 拘禁された者は、直ちに、かつ理解可能な方法により、その権利及び拘禁理由を知らされなければならず、供述を強要されてはならない。拘禁された者に対する警察及び裁判所の尋問における弁護士の立会いは、法律に定める条件の下に、これを保障する。
④ 違法に拘禁された者を直ちに司法官憲に引渡すための人身保護の手続は、法律でこれを定める。同様に、未決勾留の最大期間も、法律でこれを定める。
第18条 [名誉権、プライバシー権、肖像権、住居の不可侵、通信の秘密]
① 名誉、個人及び家族のプライバシー並びに自己の肖像に対する権利は、これを保障する。
② 住居は、不可侵である。いかなる立入り又は捜索も、現行犯の場合を除いては、居住者の同意又は裁判所の決定なしに、これを行うことができない。
③ 通信の秘密、とりわけ郵便、電信及び電話による通信の秘密は、裁判所の決定がある場合を除き、これを保障する。
④ 市民の、名誉、個人及び家族のプライバシー、並びにこれらの権利の完全な行使を保障するため、情報技術の利用は、法律でこれを制限する。
第19条 [居住・移転の自由、出入国の自由]
スペイン人は、その住居を自由に選定し、及び国の領土内を移転する権利を有する。
同様に、スペイン人は、法律に定める条件の下で、スペインに自由に出入国する権利を有する。この権利は、政治的又は思想的理由により制限されてはならない。
第20条 [表現の自由、教授の自由、情報に対する権利、アクセス権]
① 次の諸権利は承認され、かつ保護される。
a) 発言、文書その他の再現手段により、思想、観念及び意見を自由に表明し及び普及させる権利。
b) 文学的、芸術的、科学的及び技術的な生産及び創造の権利。
c) 教授の自由に対する権利。
d) あらゆる普及手段により、真実の情報を自由に伝達し又は受け取る権利。これらの自由の行使における、良心条項及び職業上の秘密に対する権利は、法律でこれを定める。
② これらの権利の行使は、いかなる種類の事前検閲によっても、これを制限することができない。
③ 国又は公共団体に属する社会的伝達手段の組織及びこれに対する議会的統制については、法律でこれを定める。また、スペインの社会的多元性及び多様な言語を尊重し、重要な社会的及び政治的集団に対しては、法律により、これら伝達手段へのアクセスを保障する。
④ これらの自由は、本編で承認された諸権利の尊重、これらの権利を具体化する法律の規定、並びにとりわけ名誉権、プライバシーの権利、自己の肖像に対する権利及び青少年の保護に関する権利により、制限される。
⑤ 出版物、録音及びその他の情報手段の押収は、裁判所の決定による場合にのみ、これを行うことができる。
第21条 [集会の権利]
① 平穏に、かつ武器をもたずに集会する権利は、これを認める。この権利の行使は、事前の許可を必要としない。
② 公共の往来の場所における集会及び示威行動については、事前に当局に届け出なければならない。当局は、人又は財産に対する危険をともなう公の秩序の紊乱を根拠とする理由が存在する場合においてのみ、これを禁止することができる。
第22条 [結社の権利]
① 結社の権利は、これを認める。
② 犯罪とみなされる目的を追求し、又は犯罪とみなされる手段を用いる結社は、違法である。
③ 本条の保護の下に結成された結社は、公知のみを目的とする登録簿に、これを登録しなければならない。
④ 結社は、理由を付した裁判所の決定によってのみ、これを解散し、又はその活動を停止させることができる。
⑤ 秘密結社及び準軍事的結社は、これを禁止する。
第23条 [参政権、公職就任権]
① 市民は、直接に、又は定期的な普通選挙において自由に選出された代表者を通じて、公事に参加する権利を有する。
② 同様に、市民は、法律の定める要件に従い、等しく公職に就く権利を有する。
第24条 [裁判を受ける権利]
① 何人も、自己の正当な権利及び利益の行使において、裁判官及び裁判所の実効的な保護を受ける権利を有し、いかなる場合にも、弁護権を奪われてはならない。
② 同様に、何人も、法律であらかじめ定められた通常裁判官に訴える権利、弁護権及び弁護人の立会いを求める権利、告訴されたことを知らされる権利、不当な遅滞のない完全に保障された公開の裁判を求める権利、自己の弁護のため適切な証明手段を用いる権利、自己に不利益な供述をしない権利、有罪であることを自白しない権利、並びに無罪の推定を受ける権利を有する。
親族関係又は職業上の秘密を理由として、犯罪の疑いのある事実に関する供述を義務づけられない場合については、法律でこれを定める。
第25条 [遡及処罰の禁止、受刑者の権利]
① 何人も、当時効力を有していた法律によれば犯罪、過失又は行政犯罪とはならない作為又は不作為を理由として、有罪とされ又は刑罰を科せられない。
② 自由刑及び保安処分は、再教育及び社会復帰を目的とするものでなければならず、かつ、強制労働であってはならない。拘置刑の判決を受け、これに服している者は、本章の基本的権利を享受する。但し、有罪判決の内容、刑罰の目的、及び監獄法により明白に制限されている権利は、これを除外する。いかなる場合にも、受刑者は、報酬をともなう労働及び社会保障に相当する利益を求める権利、並びに文化へのアクセス及び人格の総合的な発展を求める権利を有する。
③ 民事行政機関は、直接的又は補助的に、自由の剥奪を意味する制裁を科すことができない。
第26条 [名誉裁判所の禁止]
民事行政機関及び同業組織の領域における名誉裁判所は、これを禁止する。
第27条 [教育に対する権利、教育の自由、大学の自治]
① 何人も、教育に対する権利を有する。教育の自由は、これを認める。
② 教育は、民主的共同生活の原則並びに基本的な権利及び自由を尊重し、人格の完全な発展を図ることを目的とする。
③ 公権力は、親の信仰に合致する宗教的及び道徳的教育を子に受けさせる権利を保障する。
④ 基礎教育は、義務であり、かつ無償である。
⑤ 公権力は、教育に関する総合的な計画作成を通じ、すべての関係部門の実効的な参加及び教育施設の設置により、何人にも、教育に対する権利を保障する。
⑥ 教育施設を設置する自由は、憲法上の原則を尊重する限りにおいて、自然人及び法人にこれを認める。
⑦ 教師、親、及び場合により生徒は、法律に定める条件の下に、政府により公金で維持されているすべての教育施設の管理及び運営に参加する。
⑧ 公権力は、法律の遵守を保障するために、教育組織を監査し、及び認可する。
⑨ 公権力は、法律に定める要件を満たしている教育施設を援助する。
⑩ 大学の自治は、法律に定める条件の下に、これを認める。
第28条 [労働組合を結成する権利、同盟罷業権]
① 何人も、自由に労働組合を結成する権利を有する。軍隊若しくは軍隊組織又は軍規に服するその他の団体に対しては、法律により、この権利の行使を制限又は除外することができ、公務員に対しては、法律により、この権利の行使の特殊性を定めるものとする。労働組合の自由は、労働組合を結成し、自己の選択する組合に参加する権利、並びに労働組合連合及び国際労働組合組織を結成し、若しくはこれに加盟する権利を含む。何人も、労働組合に加入することを強制されない。
② 労働者が自己の利益を守るための同盟罷業権は、これを認める。この権利の行使を規制する法律は、地域住民に不可欠な事業の維持を確保するために必要な保障を定める。
第29条 [請願権]
① すべてのスペイン人は、書面により、法律に定める形式及び目的に従って、個人的及び集団的に請願する権利を有する。
② 軍隊若しくは軍隊組織、又は軍規に服する団体の構成員は、個人として、かつ特別法の定めるところに従ってのみ、この権利を行使することができる。
第2節 市民の権利及び義務
第30条 [国防の権利・義務、良心的兵役拒否]
① 市民は、スペインを防衛する権利及び義務を有する。
② 法律は、スペイン人の兵役義務を定め、しかるべき保障とともに、良心的兵役拒否、及びその他義務兵役免除の事由を定める。この場合には、兵役に代わる社会的役務を課すことができる。
③ 全体の利益目的を達成するための非軍事的役務は、これを定めることができる。
④ 重大な危険、大災害、又は公的災厄の場合における市民の義務は、法律でこれを定めることができる。
第31条 [租税制度の原則]
① 何人も、平等及び累進の原則に基づく公正な租税制度により、その経済力に応じて、公費の支出を負担するものとする。但し、いかなる場合においても、租税制度は財産を没収する性質のものであってはならない。
② 公費の支出は、公の財産を公正に配分する方法で行い、その計画及び執行は、効率と節約の基準に従うものとする。
③ 公的性格の労役及び財産負担は、法律に基づいてのみ、これを課することができる。
第32条 [婚姻の権利]
① 男女は、完全な法的平等を享受しつつ、婚姻する権利を有する。
② 婚姻の形式、婚姻の年齢及び能力、夫婦の権利及び義務、別居及び離婚の事由並びにその効果については、法律でこれを定める。
第33条 [財産権]
① 私有財産権及び相続権は、これを認める。
② 前項の権利の内容は、その社会的機能に照らし、法律でこれを制限するものとする。
③ 何人も、公共の利益又は社会的利益のための正当な理由により、かつ法律の定めるところにより相当の補償がなされるのでなければ、その財産及び権利を奪われない。
第34条 [財団設立の権利]
① 全体の利益を目的として財団を設立する権利は、法律に基づいて、これを認める。
② 第22条第2項及び第4項の規定は、財団にこれを準用する。
第35条 [勤労の義務・権利、職業選択の自由]
① すべてのスペイン人は、勤労の義務を有し、かつ勤労権、職業を自由に選択する権利、勤労を通じて昇進する権利、並びに自己及び家族の必要を満たすのに十分な報酬を得る権利を有する。いかなる場合にも、性別を理由とする差別は、これをしてはならない。
② 労働者の地位は、法律でこれを定める。
第36条 [専門職団体]
専門職団体に固有の法的特殊性、及び資格を要する職業の営業については、法律でこれを定める。専門職団体の内部構造及び機能は、民主的でなければならない。
第37条 [団体交渉権、争議権]
① 労働者及び使用者の代表による団体交渉権、並びに労働協約の拘束力は、法律でこれを保障する。
② 労働者及び使用者が集団的争議手段を採用する権利は、これを認める。この権利の行使を規制する法律は、その制限につき定めることができるほか、地域住民に不可欠な事業の機能を確保するために必要な保障を定める。
第38条 [企業の自由]
企業の自由は、市場経済の範囲内でこれを認める。公権力は、経済全体の必要性、及び場合により経済計画の必要性に応じて、企業の自由の行使及び生産性の保護を保障する。
第3章 社会政策及び経済政策の指導原則
第39条 [家庭・子・母の保護、児童の権利]
① 公権力は、家庭の社会的、経済的及び法的保護を保障する。
② 同様に、公権力は、親子関係にかかわりなく法の前に平等な子の完全な保護を保障し、民事身分のいかんを問わず母の完全な保護を保障する。父子関係の調査は、法律により、これを行うことができる。
③ 親は、嫡出たると非嫡出たるとを問わず、子が未成年の間、及び法律の定めるその他の場合において、子に対してあらゆる種類の扶助を行わなければならない。
④ 児童は、その権利に配慮する国際協定に定められた保護を享受する。
第40条 [所得配分の公平、完全雇用政策、労働政策]
① 公権力は、経済安定政策の範囲内で、社会的及び経済的進歩のため、並びに地域的及び個人的所得の最も公平な配分に適した条件を整備する。公権力は、とくに完全雇用を目的とする政策を遂行しなければならない。
② 同様に、公権力は、職業訓練及び職業再教育を保障する政策を促進する。また、公権力は、労働における安全及び衛生に配慮し、並びに労働日の制限、定期的有給休暇、及び適切な施設の設置奨励を通じて、必要な休息を保障する。
第41条 [社会保障制度]
公権力は、すべての市民に対し、困窮状態、とりわけ失業の場合において、十分な社会的救済及び社会的給付を保障するため、公的な社会保障制度を維持する。補完的な救済及び給付は、自由である。
第42条 [在外スペイン人労働者の保護]
国は、在外スペイン人労働者の経済的及び社会的権利の保護にとくに配慮し、かつその帰国政策を推進するものとする。
第43条 [健康保護、保健衛生、スポーツの奨励]
① 健康保護に対する権利は、これを認める。
② 予防措置並びに必要な給付及び事業を通じて公衆の健康を組織化し及び保護することは、公権力の職務である。これに関するすべての人の権利及び義務は、法律でこれを定める。
③ 公権力は、保健衛生教育、体育及びスポーツを奨励する。同様に、公権力は、余暇の適切な利用を促進する。
第44条 [文化へのアクセス、学問研究の奨励]
① 何人も、文化にアクセスする権利を有し、公権力はこれを促進し及び保護する。
② 公権力は、全体の利益のために、学問並びに科学的及び技術的研究を奨励する。
第45条 [環境保全、生活の質、天然資源の合理的利用]
① 何人も、人格の発展にふさわしい環境を享受する権利を有し、及びこれを保全する義務を負う。
② 公権力は、不可欠な集団的連帯に基づいて、生活の質を維持し及び改善し並びに環境を保護し及び回復するために、あらゆる天然資源の合理的利用に配慮する。
③ 前項の規定に違反した者については、法律に定める条件の下に、刑事罰、又は場合により行政罰、及び違反により生じた損害の賠償義務を課する。
第46条 [歴史的・文化的・芸術的資産の保全育成]
公権力は、法制度及び所有者のいかんを問わず、スペイン各地域の住民の歴史的、文化的及び芸術的資産並びにこれを構成する財産の保全を保障し、かつその育成を促進する。この資産を侵害する者は、刑法により、これを処罰する。
第47条 [住居権、土地利用の規制]
すべてのスペイン人は、相応かつ適切な住居を享受する権利を有する。公権力はこの権利を実効あるものにするために必要な条件を整備し、かつ適切な規範を定め、並びに、全体の利益に基づいて投機を阻止するために、土地利用の規制を行う。
地域住民は、公共団体の都市計画により生ずる利益の配分を受ける。
第48条 [青少年の政治的・社会的・経済的・文化的発展への参加]
公権力は、青少年の政治的、社会的、経済的及び文化的発展への自由かつ実効的な参加のための条件を整備する。
第49条 [障害者の保護]
公権力は、身体的、知覚的及び精神的障害者の予防、治療、リハビリテーション及び社会復帰の政策を実施する。また、公権力は、障害者に対して、必要な特別の看護を行い、かつ、本編がすべての市民に与える権利を享受することができるように、特別の保護を与える。
第50条 [高齢者の保護]
公権力は、適切な、かつ定期的に更新される年金により、高齢市民の経済的充足を保障する。同様に、公権力は、家族の義務とは別に、健康、住居、教養及び余暇に関する高齢市民特有の問題に対処する社会事業の制度を通じて、高齢市民の福祉を増進する。
第51条 [消費者の保護]
① 公権力は、消費者及び利用者の保護を保障し、かつ、実効的な手続を通じて、消費者及び利用者の安全、健康及び正当な経済的利益を擁護する。
② 公権力は、法律に定める条件の下に、消費者及び利用者への情報提供及び教育を促進し、消費者及び利用者の組織を振興し、かつ、消費者及び利用者に影響を及ぼし得る問題につき、これらの組織に対して意見の聴取を行う。
③ 前2項の規定の範囲内で、国内の通商及び商品の許認可制度は、法律でこれを定める。
第52条 [同業組織]
固有の経済的利益の擁護に貢献する同業組織については、法律でこれを定める。その内部構造及び機能は、民主的でなければならない。
第4章 基本的な自由及び権利の保障
第53条 [権利・自由の権力拘束性、司法的保護]
① 本編第2章で定める権利及び自由は、すべての公権力を拘束する。第161条第1項a)の規定に従って保護されるこれらの権利及び自由の行使は、法律によってのみ、これを規制することができる。但し、この法律は、いかなる場合にも、権利及び自由の本質的内容を尊重するものでなければならない。
② いかなる市民も、優先及び略式の原則に基づく手続により、通常裁判所に対して、また、場合により、憲法訴願を通じて、憲法裁判所に対して、第14条及び第2章第1節で定める自由及び権利の保護を求めることができる。憲法訴願は、第30条で定める良心的兵役拒否にも、これを適用することができる。
③ 第3章で定める原則の承認、尊重及び擁護は、立法、司法及び公権力の行為の根幹をなすものである。これらの原則は、これを具体化する法律の規定に従ってのみ、通常裁判所の前でこれを援用することができる。
第54条 [護民官]
本編で定める権利を擁護するため、組織法により、国会の高等受任者としての護民官の制度を設け、国会でこれを任命する。この目的のため、護民官は、行政府の活動を監督し、国会にこれを報告することができる。
第5章 権利及び自由の停止
第55条 [非常事態・戒厳における権利の停止、テロリストの権利の停止]
① 第17条、第18条第2項並びに第3項、第19条、第20条第1項a)及びd)並びに第5項、第21条、第28条第2項、並びに第37条第2項で定める権利は、憲法に定める条件の下に、非常事態又は戒厳の宣言が決定されたときは、これを停止することができる。非常事態宣言の場合には、第17条第3項は、本項前段の規定からこれを除外する。
② 武装集団又はテロリスト分子の行動に対する調査に関連して、個別的に、かつ裁判所の必要的介入並びに十分な議会的統制の下に、特定の人物に対し、第17条第2項、並びに第18条第2項及び第3項で定める権利を停止することのできる形式並びに場合については、組織法でこれを定めることができる。
この組織法で認められた権能を不当に利用し、又はこれを濫用した場合は、法律で定める権利及び自由の侵害として、刑事責任を生ずる。
第2編 国王
第56条 [国王の地位・称号・不可侵性・無答責性]
① 国王は、国家元首であり、国の統一性及び永続性の象徴である。国王は、諸制度の正常な機能を仲裁し及び調整し、国際関係、とりわけ歴史的にスペインと共同体を形成してきた国々との関係において、スペイン国の最高代表権を有し、並びに憲法及び法律が明示的に付与する職務を行う。
② 国王の称号は、スペイン国王であり、国王は王位にふさわしいその他の称号を用いることができる。
③ 国王の身体は不可侵であり、かつ、国王は無答責である。国王の行為は、常に第64条に定める形式により副署され、この副署を欠くときは、その行為は効力を有しない。但し、第65条第2項に定める場合は、この限りではない。
第57条 [王位継承の原則]
① スペイン王位は、歴史的王朝の正統な継承者であるブルボン家ドン・フアン・カルロス1世陛下の後継者が、これを世襲する。王位継承は、長子相続及び代襲相続の正規の順序に従い、常に年長者の家系が年少者の家系に優先する。同一家系内では、最近親等が他の親等に、同一親等内では、男子が女子に、同性間では、年長者が年少者に、それぞれ優先する。
② 皇太子は、出生の時より、又は王位継承の指名の原因となる事実が発生した時より、アストゥリアス王子の称号、及びスペイン王位継承者に伝統的に結びついた称号を有する。
③ 法で定められたすべての家系が消滅したときは、国会は、スペインの利益に最も適う方法で、王位継承者を定める。
④ 王位継承権を有する者が、国王及び国会の明示的禁止に反して婚姻をなしたときは、本人及びその子孫は、王位継承から除外される。
⑤ 譲位及び退位、並びに王位継承順位において生ずる事実上又は法律上の疑義は、組織法により、これを解決する。
第58条 [国王の配偶者]
配偶者たる王妃又は女王の配偶者は、摂政につき定める場合を除き、憲法上の職務を行うことができない。
第59条 [摂政]
① 国王が未成年の場合は、国王の父又は母が、また、国王の父又は母を欠くときは、憲法に定める順序に従い、王位継承順位の最も近い成年親族が、直ちに摂政に就任し、国王が未成年の間、摂政の職務を行う。
② 国王がその権限を行使する能力を失い、かつ、国会がこれを認定したときは、皇太子が成年に達している場合には、直ちに皇太子が摂政に就任する。皇太子が成年に達していないときは、成年に達するまで、前項で定める手続に従う。
③ 摂政となるべき者がいないときは、国会がこれを任命する。摂政は、1人、3人又は5人とする。
④ 摂政に就任するためには、スペイン人であり、かつ成年者であることを要する。
⑤ 摂政は、憲法の委任により、かつ常に国王の名において、これを行う。
第60条 [未成年国王の後見人]
① 死亡した前国王が遺言により指名した者は、成年者であり、かつ出生によるスペイン人である場合には、未成年国王の後見人となる。この指名がないときは、未成年国王の父又は母が再婚をしない間は、未成年国王の父又は母が後見人となる。未成年国王の父又は母を欠くときは、後見人は、国会がこれを任命する。但し、国王の父、母又は直系尊属以外の者は、摂政と後見人の職を兼ねることができない。
② 後見の職はまた、一切の政治的な官職又は代表を兼ねることができない。
第61条 [国王・皇太子・摂政の宣誓]
① 国王は、国会の前で即位するに際して、その職務を忠実に遂行すること、憲法及び法律を遵守し及び遵守させること、並びに市民及び自治州の権利を尊重することを宣誓する。
② 皇太子は、成年に達したとき、また摂政は、就任の際、前項の宣誓及び国王に対する忠誠の宣誓を行う。
第62条 [国王の権能]
国王は、次の権能を有する。
a) 法律を裁可し、及びこれを公布すること。
b) 国会を召集し、及びこれを解散すること、並びに、憲法に定める条件の下に、選挙を公示すること。
c) 憲法の定める場合に、国民投票を公示すること。
d) 憲法に定める条件の下に、内閣総理大臣の候補者を推薦し、及び場合により内閣総理大臣を任命し、並びに内閣総理大臣を罷免すること。
e) 内閣総理大臣の提案に基づいて、閣僚を任免し、及びこれを罷免すること。
f) 閣議において決定された政令を公布すること、文官及び武官を任命すること、並びに、法律に基づいて、栄誉及び栄典を授与すること。
g) 国事に関する報告を受けること。この目的のため、国王が適当とみなすときに、内閣総理大臣の要請に基づいて、閣議を主宰すること。
h) 軍隊の最高指揮権を行使すること。
i) 法律に基づいて、恩赦権を行使すること。但し、大赦を与えることはできない。
j) 王立アカデミーの最高の保護者たること。
第63条 [国王の対外的権能]
① 国王は、大使その他の外交代表に信任状を与える。スペインにおける外国の代表は、国王に信任状を奉呈する。
② 憲法及び法律に従い、条約により国際的義務を負うことに対して国の同意を表明することは、国王の権能である。
③ 事前に国会の承認を受けて、宣戦を布告し、及び講和を行うことは、国王の権能である。
第64条 [副署]
① 国王の行為は、内閣総理大臣、及び場合により主任の大臣により、副署される。内閣総理大臣の推薦及び任命、並びに第99条で定める解散については、下院議長が副署する。
② 国王の行為については、これに副署した者が責任を負う。
第65条 [王室経済]
① 国王は、王族及び王室の維持のため、国の予算より一定の総額を受け、これを自由に配分する。
② 国王は、王室の文官及び武官を自由に任命し、及びこれを罷免する。
第3編 国会
第1章 議院
第66条 [国会の地位・権能・不可侵性、二院制]
① 国会は、スペイン国民を代表し、下院及び上院でこれを構成する。
② 国会は、国の立法権を行使し、予算を承認し、内閣の行為を監督し、及び憲法が付与するその他の権能を有する。
③ 国会は、不可侵である。
第67条 [兼職禁止、命令的委任の禁止]
① 何人も、同時に両議院の議員となることはできない。また、自治州議会の当選証書と下院の当選証書を兼有することもできない。
② 国会議員は、命令的委任に拘束されない。
③ 正規の召集によらずに開催された国会議員の集会は、両議院を拘束しない。この場合には、国会議員は、その職務を遂行し、及びその特権を享受することができない。
第68条 [下院の構成]
① 下院は、法律に定める条件の下に、普通、自由、平等、直接及び秘密の選挙により選出された、最低300人、最高400人の議員で、これを構成する。
② 選挙区は、県である。セウタ市及びメリージャ市は、各々1人の下院議員により代表される。下院議員の全定数は、法律により、各選挙区に最小の代表者数を配分した後、人口数に比例して残余を配分することにより、これを配分する。
③ 選挙は、比例代表の原則に留意し、各選挙区において、これを行う。
④ 下院は、4年ごとに選挙を行う。下院議員の任期は、選挙から4年後又は下院解散の日に終了する。
⑤ 政治的権利を完全に行使する資格を有するすべてのスペイン人は、選挙人であり、かつ被選挙資格を有する。
スペイン国外に在るスペイン人による選挙権の行使は、法律でこれを承認し、かつ、国は、その便宜を図らなければならない。
⑥ 選挙は、任期終了後30日から60日までの間に、これを行う。この選挙で選出された下院は、選挙の日から25日以内に、これを召集しなければならない。
第69条 [上院の構成]
① 上院は、地域代表の議院である。
② 組織法に定める条件の下に、各県の選挙人による普通、自由、平等、直接及び秘密の選挙により、各県ごとに4人の上院議員を選出する。
③ 島嶼県においては、カビルド等の島議会を有する各島又は島嶼群を、上院議員選挙の1選挙区とする。定数は、大島嶼----グラン・カナリア、マジョルカ及びテネリーフェ----については各3人、次の各島又は島嶼群、すなわち、イビサ=フォルメンテーラ、メノルカ、フエルテベントゥーラ、ゴメーラ、イエーロ、ランサローテ及びラ・パルマについては、各1人とする。
④ セウタ市及びメリージャ市は、各々2人の上院議員を選出する。
⑤ 自治州は、さらに1人の上院議員を選出し、当該地域の人口100万人ごとに、さらに1人ずつこれを選出する。この選出は、自治憲章の定めるところに従い、立法議会が行い、立法議会を欠くときは、自治州最高合議制機関がこれを行う。いずれの場合も、自治憲章は、適切な比例代表を保障しなければならない。
⑥ 上院は、4年毎に選挙を行う。上院議員の任期は、選挙から4年後又は上院解散の日に終了する。
第70条 [議員の資格]
① 下院議員及び上院議員の欠格事由及び兼職禁止については、選挙法でこれを定める。いかなる場合にも、次に掲げる者は、議員資格を有しない。
a) 憲法裁判所の裁判官。
b) 法律で定める国家行政上級職。但し、内閣の閣僚はこれを除く。
c) 護民官。
d) 現職の裁判官及び検察官。
e) 現職の職業軍人並びに保安組織及び警察の職員。
f) 選挙管理委員会の委員。
② 両議院議員の当選証書及び資格証書の効力は、選挙法に定める条件の下に、裁判所がこれを監督する。
第71条 [議員の特権]
① 下院議員及び上院議員は、職務遂行中に表明した意見につき、不可侵性を享受する。
② 同様に、下院議員及び上院議員は、その任期中、不逮捕特権を有し、現行犯の場合にのみ、これを逮捕することができる。議員は、事前に各議院の許諾がなければ、告発又は起訴されない。
③ 下院議員及び上院議員に対する訴訟は、最高裁判所刑事部法廷の管轄とする。
④ 下院議員及び上院議員は、各議院の定める給与を受ける。
第72条 [議院規則、議長の権限]
① 両議院は、各々議院規則を定め、予算を独立して承認し、両議院の共同の議決により、国会人事規則を制定する。議院規則及びその改正は、その全部に関する最終表決に付され、絶対多数の賛成を必要とする。
② 両議院は、各々議長及びその他の議院運営委員会委員を選出する。両院合同会議は、下院議長がこれを主宰し、各議院の絶対多数で承認された国会議事規則により、これを規律する。
③ 両議院の議長は、議院の名において、各議院内部におけるすべての行政権及び警察権を行使する。
第73条 [常会、臨時会]
① 両議院は、毎年2回、常会を召集する。常会の第1期は9月から12月まで、第2期は2月から6月までとする。
② 両議院は、内閣、常設議員団又はいずれかの議院の議員の絶対多数の要請により、臨時会を召集することができる。臨時会は、議事日程を定めてこれを召集し、議事日程が終了したとき、これを閉会する。
第74条 [両院合同会議、両院協議会]
① 両議院は、第2編で国会に明示的に付与された非立法的権限を行使するため、両院合同会議において集会する。
② 第94条第1項、第145条第2項及び第158条第2項で定める国会の決定は、各議院の多数決で、これを採択する。第94条第1項の場合は、下院でこれを先議し、第145条第2項及び第158条第2項の場合は、上院でこれを先議する。いずれの場合も、上下両議院の間で合意が得られないときは、同数の下院議員及び上院議員で構成される両院協議会により、合意を得るよう努めなければならない。両院協議会は、成案を提出し、これを両議院の表決に付する。成案が所定の形式で可決されないときは、下院が、絶対多数でこれを可決する。
第75条 [本会議、委員会]
① 両議院は、本会議及び委員会において活動する。
② 両議院は、立法常任委員会に対し、内閣提出法律案又は議院提出法律案の議決を委任することができる。但し、本会議は、この委任の対象とされた内閣提出法律案又は議院提出法律案の審議及び表決を、いつでも要求することができる。
③ 憲法改正、国際問題、組織法及び基盤法並びに国の一般予算は、前項の規定からこれを除外する。
第76条 [調査委員会]
① 下院及び上院、並びに場合により、両議院は合同して、公共の利益にかかわる事項につき、調査委員会を選任することができる。調査委員会の結論は、裁判所を拘束せず、また司法判決に影響を及ぼさない。但し、調査結果は、必要に応じて適切な措置をとるために、検察官にこれを通知することを妨げない。
② 議院により出頭を求められた者は、出頭しなければならない。出頭義務の不履行に科せられる処罰は、法律でこれを定める。
第77条 [議院に対する請願]
① 両議院は、常に書面により、個人又は集団による請願を受理することができる。市民の示威行動による直接的陳情は、これを禁止する。
② 両議院は、受理した請願を内閣に送付することができる。内閣は、議院が要求するときは必ず、請願内容について見解を表明しなければならない。
第78条 [常設議員団]
① 各議院には、少なくとも21人からなる常設議員団を置く。常設議員団は、その所属議員数に比例して、院内各会派を代表する。
② 常設議員団は、各議院の議長がこれを主宰する。常設議員団は、第73条で定める職務、議院が解散され又は任期が満了した場合に、第86条及び第116条に基づいて、両議院の権能を行使する職務、並びに、議院が召集されていないときに、議院の権限に配慮する職務を有する。
③ 任期満了又は解散の場合には、常設議員団は、次期国会が成立するまで、その職務を継続して行う。
④ 各議院が召集されたときは、常設議員団は、その取扱事項及び決定につき、報告を行う。
第79条 [定足数、表決]
① 決議を採択するためには、 正規に議院が召集され、かつ、議員の過半数の出席がなければならない。
② 決議が有効となるためには、出席議員の過半数の賛成を必要とする。但し、憲法又は組織法で定める場合、及び人の選出につき議院規則で定める場合には、特別多数によることを妨げない。
③ 上院議員及び下院議員の投票は、一身専属であり、委任することができない。
第80条 [会議の公開]
両議院の本会議は、公開とする。但し、各議院が、その絶対多数により又は議院規則に従って、非公開とすることを議決した場合は、この限りではない。
第2章 法律の制定
第81条 [組織法]
① 基本的権利及び公的自由の具体化に関する法律、自治憲章及び一般的選挙制度を承認する法律、並びに憲法で定めるその他の法律は、これを組織法という。
② 組織法の承認、改正又は廃止には、法律案全体に対する最終表決において、下院の絶対多数を必要とする。
第82条 [立法の委任、基盤法、通常法]
① 国会は、前条に含まれない特定の事項につき、法律の地位を有する規範を発する権限を、内閣に委任することができる。
② 立法の委任は、その目的が条文化された法規の作成であるときは、基盤法により、また、複数の法規を単一の法規に改訂するときは、通常法により、これを行わなければならない。
③ 立法の委任は、具体的な事項につき、その行使の期限を明確に定めた上で、内閣にこれを付与しなければならない。委任立法権は、当該規範の公布を通じて内閣がこれを行使したとき、消滅する。委任は、黙示的又は無期限に付与されたものと解してはならない。また、内閣以外の機関に対する再委任は、これを認めない。
④ 立法の委任の目的及び範囲、並びに委任立法権を行使する際に遵守すべき原則及び基準は、基盤法でこれを明確に定める。
⑤ 複数の法規の改訂を委任するときは、委任の内容に関する規定範囲を定め、かつ、単一の法規にとりまとめることのみに限定するのか、改訂される法規を整理し、明確化し及び調整することを含むのかを明らかにしなければならない。
⑥ 授権法は、裁判所に固有の権限を妨げない限り、各々の場合において、附帯的な監督の方法を定めることができる。
第83条 [基盤法の限界]
いかなる場合にも、基盤法により、次の事項を行うことはできない。
a) 基盤法自体の改正を認めること。
b) 遡及効をともなう規範を発する権限を付与すること。
第84条 [立法委任に違反する議院提出法律案の取扱い]
議院提出の法律案又は修正案が、現行の立法委任に違反するときは、内閣は、その取扱いに反対することができる。この場合には、授権法の全部又は一部を廃止する議院提出法律案を提出することができる。
第85条 [立法政令]
委任立法を内容とする内閣制定法規は、これを立法政令という。
第86条 [政令法]
① 特別かつ緊急の必要がある場合には、内閣は、政令法の形式で暫定法規を発することができる。この暫定法規は、国の基本的制度の秩序、第1編で定める市民の権利、義務及び自由、自治州制度、並びに一般選挙法に影響を及ぼすものであってはならない。
② 政令法は、その全部を直ちに下院の審議及び表決に付さなければならない。この目的のため、下院が召集されていないときは、政令法の公布後30日以内に、これを召集しなければならない。下院は、この期間内に、当該政令法の承認又は廃止を明確に表明しなければならない。このための特別かつ略式の手続は、議院規則でこれを定める。
③ 前項で定める期間内に、国会は、緊急手続により、当該政令法を内閣提出法律案として取扱うことができる。
第87条 [法律案の提出権、内閣提出法律案、議院提出法律案、国民発案]
① 内閣、下院及び上院は、憲法及び議院規則に基づいて、法律案の提出権を有する。
② 自治州議会は、内閣に対して内閣提出法律案の採択を要求し、又は下院議院運営委員会に議院提出法律案を送付することができる。この場合、自治州議会は、法律案の趣旨説明に任ずる最高3人の議員を、下院に派遣することができる。
③ 議院提出法律案提出のための国民発案の行使形式及び要件は、組織法でこれを定める。いかなる場合にも、国民発案には、50万人以上の正式な署名を必要とする。国民発案は、組織法、税制、国際関係又は恩赦大権に関する事項については、これを行うことができない。
第88条 [内閣提出法律案]
内閣提出法律案は、閣議でこれを承認し、立法趣意書、及び説明に必要な先例を添付して、これを下院に送付する。
第89条 [議院提出法律案]
① 議院提出法律案の取扱いは、議院規則でこれを定める。但し、内閣提出法律案の優先によって、第87条で定める法律案提出権の行使が妨げられてはならない。
② 第87条に従って、上院において発議を承認された議院提出法律案は、下院に送付され、下院において、議院提出法律案として取扱われる。
第90条 [法律案の議決、下院の優越、緊急手続]
① 通常法及び組織法の内閣提出法律案が下院で可決されたときは、下院議長は、直ちにこれを上院議長に報告し、上院議長は、これを上院の審議に付する。
② 上院は、法律案を受け取った日から2か月以内に、理由書を以て、これを否決し、又は修正案を可決することができる。否決には、絶対多数の承認を必要とする。上院が否決したときは、下院の絶対多数により原案が可決されるか、法律案が上院に提出されてから2か月が経過した場合には、下院の単純多数により原案が可決され、又は、上院の修正案が取り上げられ、下院がこれを単純多数により可決若しくは否決しない限り、法律案を国王の裁可に付することができない。
③ 内閣提出法律案を否決又は修正可決するために上院に認められた2か月の期限は、内閣又は下院が緊急なものと宣言した法律案については、これを20日に短縮する。
第91条 [国王の裁可・公布]
国王は、国会で可決された法律を、15日以内に裁可し、公布し、及び直ちにこれを公示するよう命ずる。
第92条 [諮問的国民投票]
① とくに重要な政治的決定は、これをすべての市民の諮問的国民投票に付することができる。
② 国民投票は、内閣総理大臣の提案に基づき、事前に下院の承認を得て、国王がこれを公示する。
③ 本憲法に定める各種国民投票の条件及び手続は、組織法でこれを定める。
第3章 国際条約
第93条 [国際機関への権限移譲]
憲法に由来する権限を、国際的な組織又は機関に移譲する条約の締結は、組織法により、これを承認することができる。これらの条約、及び権限を付与された国際的又は超国家的組織による決議は、場合により、国会又は内閣が、その履行を保障する。
第94条 [国会の事前承認を要する条約]
① 次の場合において、条約又は協定により義務を負うことに国が同意するためには、事前に国会の承認を必要とする。
a) 政治的性格を有する条約。
b) 軍事的性格を有する条約又は協定。
c) 国の領土の一体性、又は第1編で定める基本的な権利及び義務に影響を及ぼす条約又は協定。
d) 国庫に対する財政的負担を含む条約又は協定。
e) 法律の改正若しくは廃止を伴い、又はその執行に立法措置を必要とする条約又は協定。
② 下院及び上院は、その他の条約又は協定の締結について、直ちに報告を受ける。
第95条 [条約と憲法の抵触]
① 憲法に違反する条項を含む国際条約の締結には、事前に憲法改正を必要とする。
② 内閣又はいずれかの議院は、かかる憲法違反が存するか否かについての宣言を、憲法裁判所に求めることができる。
第96条 [条約の国内法的効力、条約の廃棄]
① 有効に締結された国際条約は、スペイン国内で正式に公示された後は、国内法秩序の一部をなす。この国際条約の規定は、当該条約で定める形式又は国際法の一般原則に従ってのみ、これを廃止し、改正し、又は停止することができる。
② 国際条約及び国際協定の廃棄には、第94条で定める条約承認の手続と同様の手続をとらなければならない。
第4編 内閣及び行政
第97条 [内閣の権能]
内閣は、内政及び外政、民事行政及び軍事行政、並びに国防を指揮する。内閣は、憲法及び法律に基づいて、執行権及び命令を発する権限を行使する。
第98条 [内閣の組織、内閣総理大臣・閣僚の権限]
① 内閣は、内閣総理大臣、場合により副総理大臣、国務大臣及び法律で定めるその他の閣僚で、これを組織する。
② 内閣総理大臣は、内閣の行為を指揮し、他の閣僚の職務を調整する。但し、閣僚が職務を遂行する際には、その直接の権限及び責任を妨げてはならない。
③ 閣僚は、議員としての固有の代表機能以外の機能を行使してはならない。また、職務に由来しない公的機能を行使し、又は専門的若しくは商業的活動をしてはならない。
④ 閣僚の地位及び兼職禁止は、法律でこれを定める。
第99条 [内閣総理大臣の任命]
① 下院の改選のつど、及び憲法で定めるその他の場合に、国王は、議会に代表されている政治的会派により指名された代表者と事前に協議した上で、下院議長を通じて、内閣総理大臣の候補者を推薦する。
② 前項の規定により推薦された候補者は、下院に対し、組織しようとする内閣の政策綱領を表明し、下院の信任を求める。
③ 下院が、総議員の絶対多数の表決により、前項の候補者に信任を与えたときは、国王は、この候補者を内閣総理大臣に任命する。絶対多数が得られないときは、前回表決から48時間後に再表決を行い、単純多数が得られたときは、信任されたものとみなす。
④ 前項の再表決によっても、内閣総理大臣叙任のための信任が与えられないときは、前3項で定める方法により、新たに推薦の手続を行う。
⑤ 叙任に関する第1回目の表決の後、2か月間が経過しても、下院の信任を得る候補者がないときは、国王は両議院を解散し、下院議長の副署を得て、新たな選挙を公示する。
第100条 [閣僚の任免]
内閣のその他の閣僚は、内閣総理大臣の推薦に基づいて、国王がこれを任命し、及び罷免する。
第101条 [内閣の辞職]
① 内閣は、総選挙の施行後、若しくは憲法で定める議会の信任を失った場合、又は内閣総理大臣が辞任し若しくは死亡した場合、辞職する。
② 辞職した内閣は、新内閣が発足するまで、引き続きその職務を行う。
第102条 [内閣総理大臣・閣僚の刑事訴追]
① 内閣総理大臣及びその他の閣僚の刑事責任は、場合により、最高裁判所刑事部法廷でこれを追及することができる。
② 訴追が、反逆罪、又は職務遂行における国の安全に対する犯罪によるものであるときは、下院議員の4分の1が発議し、かつ、下院の絶対多数による承認があった場合にのみ、これを提起することができる。
③ 国王の恩赦大権は、本条のいかなる場合にも、これを適用することができない。
第103条 [公行政の原則、公務員の地位]
① 公行政は、客観性を以て全体の利益に奉仕し、効率、職階制、分権、分散及び調整の原則に従い、法律及び法に完全に服しつつ、活動する。
② 国の行政機関は、法律に従って、これを設置し、指揮し、及び調整する。
③ 公務員の地位、成績及び能力の原則に基づく公職へのアクセス、公務員による労働組合結成権行使の特殊性、兼業禁止の制度、並びに職務遂行における公正性の保障については、法律でこれを定める。
第104条 [保安組織]
① 保安組織は、内閣の下に、権利及び自由の自由な行使を保護し、並びに市民の安全を保障することを任務とする。
② 保安組織の職務、活動の基本原則及び規則は、組織法でこれを定める。
第105条 [聴聞手続、行政文書へのアクセス、行政手続]
次の事項は、法律でこれを定める。
a) 市民に影響を及ぼす行政法規の制定手続において、市民に対し、直接的に、又は法律で認める組織及び団体を通じて、聴聞を行うこと。
b) 行政文書及び行政記録に対する市民のアクセス。但し、国の安全及び防衛に影響を及ぼすもの、犯罪の捜査、並びに個人のプライバシーに関するものは、これを除く。
c) 行政行為を行う際の手続。これについては、必要に応じて、利害関係人に対する聴聞を保障する。
第106条 [裁判所による行政監督、国家賠償請求権]
① 裁判所は、命令を発する権限、行政行為の合法性、及び行政行為の合目的性を監督する。
② 私人は、公務執行の結果として、その財産及び権利に損害を受けたときは、不可抗力の場合を除き、法律に定める条件の下に、賠償を受ける権利を有する。
第107条 [枢密院]
枢密院は、内閣の最高諮問機関である。枢密院の構成及び権限は、法律でこれを定める。
第5編 内閣と国会の関係
第108条 [下院に対する内閣の連帯責任]
内閣は、その政策遂行につき、下院に対し、連帯して責任を負う。
第109条 [両議院・委員会の情報請求権]
両議院及びその委員会は、議長を通じて、内閣及び各省、並びに国及び自治州の機関に対し、必要な情報及び援助を求めることができる。
第110条 [閣僚の議院出席権・発言権]
① 両議院及びその委員会は、閣僚の出席を求めることができる。
② 閣僚は、両議院及びその委員会の会議に出席し、発言する権利を有する。また、各省の官僚に対し、両議院及びその委員会で報告するよう求めることができる。
第111条 [内閣・閣僚に対する質疑]
① 内閣及び各閣僚は、両議院で行われる質疑に応じなければならない。この種の討議のため、議院規則で、最低1週間の期間を設ける。
② すべての質疑について、議院はその見解を表明することができる。
第112条 [信任問題]
内閣総理大臣は、事前に閣議での審議を経て、下院に対し、その綱領又は一般政策宣言について、信任問題を提起することができる。下院議員の単純多数が賛成したときは、信任が与えられたものとみなす。
第113条 [不信任動議]
① 下院は、絶対多数を以て不信任動議を可決することにより、内閣の政治責任を追及することができる。
② 不信任動議は、下院議員の少なくとも10分の1により提出されることを必要とし、かつ、内閣総理大臣の候補者を含むものでなければならない。
③ 不信任動議は、提出後5日を経過するまでは、これを表決に付することができない。この期間の最初の2日間は、不信任動議に代わる動議を提出することができる。
④ 不信任動議が下院で可決されなかったときは、その動議に署名した者は、同一会期中に再び不信任動議を提出することができない。
第114条 [信任の否決・不信任決議の効果]
① 下院が内閣の信任を否決したときは、内閣は国王に辞表を提出する。この場合は、第99条の定めるところに従い、引き続き、内閣総理大臣の任命を行う。
② 下院が不信任動議を可決したときは、内閣は国王に辞表を提出し、不信任動議に記載された候補者は、第99条で定める下院の信任を与えられたものとみなされる。国王は、この候補者を内閣総理大臣に任命する。
第115条 [解散]
① 内閣総理大臣は、事前に閣議での審議を経て、内閣総理大臣単独の責任において、下院、上院又は国会の解散を具申することができる。解散は、国王がこれを布告する。解散の布告には、選挙の期日を定めなければならない。
② 不信任動議の手続が進行しているときは、解散を具申することができない。
③ 第99条第5項で定める場合を除き、前回の解散から1年を経過するまでは、新たに解散を行うことができない。
第116条 [警戒事態・非常事態・戒厳]
① 警戒事態、非常事態及び戒厳、並びに各事態における権限及び制限は、組織法でこれを定める。
② 警戒事態は、閣議で決定された政令により、最大15日間を期限として、内閣がこれを宣言する。この旨は下院に報告され、下院は、この目的のため、直ちに召集される。下院の承認がなければ、この期間を延長することができない。政令には、警戒事態宣言の効力の及ぶ領域を定めなければならない。
③ 非常事態は、事前に下院の承認を得て、閣議で決定された政令により、内閣がこれを宣言する。非常事態の承認及び宣言は、その効力、適用領域及び期間を明確に定めなければならない。非常事態の期間は、30日を超えないものとし、同一条件の下に、さらに30日間これを延長することができる。
④ 戒厳は、内閣のみによる提案に基づいて、下院の絶対多数により、これを宣言する。下院は、戒厳の領域、期間及び条件を定める。
⑤ 本条で定めるいずれかの事態が宣言されている間は、下院を解散することができず、両議院が閉会中のときは、両議院は自動的に召集される。両議院の機能は、憲法上のその他の国家権力の機能と同様、これらの事態の有効期間中、これを妨げてはならない。
下院が解散され、又はその任期が満了した場合において、これらの事態のいずれかの原因となる状況が発生したときは、下院の権限は、下院常設議員団がこれを行使する。
⑥ 警戒事態、非常事態及び戒厳の宣言は、内閣又は憲法及び法律で定める内閣の下位機関の責任の原則に変更を加えるものではない。
第6編 司法権
第117条 [裁判官の独立・身分保障、裁判所の権限、司法権一体の原則、非常裁判所の禁止]
① 司法は、国民に由来し、司法権を構成する裁判官が、国王の名において、これを行う。裁判官は、独立であり、罷免されず、法の支配に対してのみ責任を負い、かつこれに服従する。
② 裁判官は、法律で定める事由により、かつ法律で定める保障を与えるのでなければ、これを解任し、停職とし、転任させ又は退官させることができない。
③ すべての種類の訴訟において、司法権を行使し、裁判を行い、かつ判決を執行させる権限は、法律で定める管轄及び手続に関する規範に従い、法律で定める裁判所のみに属する。
④ 裁判所は、前項に定める職務権限、及び、権利の保障のため法律により明示的に付与された職務権限以外の職務権限を行使してはならない。
⑤ 司法権一体の原則は、裁判所の組織及び機能の基礎である。軍事裁判権の行使は、憲法の原則に基づき、厳密に軍事的な領域及び戒厳の場合について、法律でこれを定める。
⑥ 非常裁判所は、これを禁止する。
第118条 [確定判決の履行、裁判官・裁判所への協力]
裁判官及び裁判所の確定判決その他の確定的決定は、これを履行しなければならない。また、訴訟の過程及び判決の執行に際して、裁判官及び裁判所が協力を求めたときは、協力しなければならない。
第119条 [裁判の無償]
裁判は、法律で定める場合において、これを無償とする。また、いかなる場合においても、訴訟のための資力に不足のあることを証明する者については、これを無償とする。
第120条 [裁判の公開、口頭主義]
① 裁判手続は、訴訟法で定める場合を除き、これを公開とする。
② 裁判手続は、とくに刑事事件においては、原則として口頭によるものとする。
③ 判決は、常にこれに理由を付し、公開の法廷でこれを宣告する。
第121条 [誤審に対する国家賠償]
誤審による損害、及び司法の異常な機能の結果としての損害が生じたときは、法律に基づいて、国に損害賠償を求める権利が与えられる。
第122条 [裁判所の組織、裁判官・司法事務職員の地位、司法総評議会]
① 裁判所の構成、機能及び管理、並びに単一の組織を構成する職業裁判官及び司法事務職員の法的地位は、司法権に関する組織法でこれを定める。
② 司法総評議会は、司法管理機関である。司法総評議会の規則、その構成員の兼職禁止制度、並びにその職務、とくに任命、昇任、監査及び懲戒制度に関するものについては、組織法でこれを定める。
③ 司法総評議会は、主宰者たる最高裁判所長官、及び国王により5年の任期で任命される評議員20人で、これを組織する。評議員のうち、12人は、組織法で定める条件の下に、すべての司法領域から選ばれた裁判官を充てる。4人は下院の、4人は上院の推薦する者を充て、いずれの場合にも、十分な学識を有し、かつ15年を超える専門職歴を有する弁護士その他の法律家のなかから、各議院の議員の5分の3の多数でこれを選出する。
第123条 [最高裁判所、最高裁判所長官の任命]
① スペイン全土に管轄権を有する最高裁判所は、すべての司法部門における最高の司法機関である。但し、憲法保障に関する事項は、これを除く。
② 最高裁判所長官は、法律に定める形式により、司法総評議会の推薦に基づいて、国王がこれを任命する。
第124条 [検察官]
① 検察官は、他の機関に委任された職務を除き、合法性、市民の権利、及び法律により保護される公共の利益を擁護するため、職権により又は当事者の請求に基づいて、司法活動を促進し、裁判所の独立性に配慮し、並びに裁判所の前で社会的利益の充足に努めることを使命とする。
② 検察官は、職務上の一体性及び職階制的従属の原則に従い、かつ、いかなる場合にも、合法性及び公正性の原則に従い、固有の機関を通じて、その職務を行う。
③ 検察官の組織に関する規則は、法律でこれを定める。
④ 国家検事総長は、内閣の推薦に基づき、司法総評議会の意見を聴いた上で、国王がこれを任命する。
第125条 [民衆訴訟、陪審制度、慣習的・伝統的裁判]
市民は、法律に定める形式により、かつ法律に定める刑事訴訟に関して、民衆訴訟を行い、及び陪審制度を通じて司法に参加し、並びに慣習的及び伝統的な裁判に参加することができる。
第126条 [司法警察]
司法警察は、法律に定める条件の下に、犯罪の捜査並びに犯罪人の発見及び確保の職務を行うに際し、裁判官、裁判所及び検察官に従属する。
第127条 [裁判官・検察官の兼職禁止]
① 裁判官及び検察官は、在職中、他の公職に就き、又は政党若しくは労働組合に参加することができない。裁判官及び検察官のための専門職団体の制度及び態様は、法律でこれを定める。
② 司法権構成員の兼職禁止制度は、法律でこれを定める。この制度は、司法権構成員の完全な独立性を確保するものでなければならない。
第7編 経済及び財政
第128条 [国富と全体の利益、公的主導]
① さまざまな形態における国の富はすべて、所有名義人のいかんを問わず、全体の利益に従属する。
② 経済活動における公的主導は、これを認める。主要な資源又は事業を公共部門に留保すること、とりわけこれを独占することは、法律を通じてこれを行うことができる。同様に、全体の利益からみて必要なときは、企業への介入を決定することができる。
第129条 [公的機関の活動への参加、企業への参加]
① 社会保障、及び生活の質又は一般福祉に直接影響を及ぼす公的機関の活動への、利害関係人の参加の形式は、法律でこれを定める。
② 公権力は、さまざま形態による企業への参加を効果的に促進し、かつ、適切な立法を通じて、協同組合を助成する。公権力はまた、生産手段の所有に対する労働者のアクセスを促進する施策を講ずる。
第130条 [経済部門の近代化・発展]
① 公権力は、すべてのスペイン人の生活水準を均等化するため、すべての経済部門、とくに農業、牧畜業、漁業及び手工業の近代化及び発展に留意する。
② 前項と同一の目的のため、山岳地帯については、特別の取扱いを認める。
第131条 [経済活動の計画化]
① 国は、集団的需要に留意し、地域並びに部門の発展の均衡並びに調和を図り、所得及び富の増大並びにその公正な配分を促進するため、法律を通じて、経済活動全般を計画化することができる。
② 内閣は、自治州が提供した予測、並びに労働組合及びその他の同業組織、使用者団体及び経済団体の助言及び協力に基づいて、計画案を作成する。この目的のため、審議会を設置し、その構成及び職務は、法律でこれを具体化する。
第132条 [公有財産]
① 公有財産及び共同体財産に関する法制度は、不可譲渡性、不可時効消滅性及び差押不能性の原則に基づいて、法律でこれを定める。公用廃止についても、同様とする。
② 法律で定める財産、並びに、いずれの場合にも、海陸地帯、海浜、領海、並びに経済水域及び大陸棚の天然資源は、国の公有財産である。
③ 国の財産及び国民の財産、その管理、保護並びに維持については、法律でこれを定める。
第133条 [租税法律主義、債務の負担]
① 租税を設ける本来の権限は、法律を通じて、排他的に国に属する。
② 自治州及び地方公共団体は、憲法及び法律に基づいて、租税を設け、かつこれを徴収することができる。
③ 国税に影響を及ぼす財政上の特典は、すべて法律でこれを定めなければならない。
④ 公行政は、法律に基づいてのみ、財政上の債務を負担し及び支出をすることができる。
第134条 [国の一般予算、内閣の予算提出権、予算法]
① 国の一般予算は、内閣がこれを作成し、国会がこれを検討し、修正し及び承認する。
② 国の一般予算は、毎年これを作成し、国の公共部門の歳出及び歳入の全部をこれに含めるものとする。また、国税に影響を及ぼす財政上の特典の総額も、これに計上しなければならない。
③ 内閣は、前年度予算の終了する少なくとも3か月前に、国の一般予算を下院に提出しなければならない。
④ 当該会計年度の初日前に予算法が承認されないときは、新たに予算が承認されるまで、前会計年度の予算が自動的に延長されたものとみなす。
⑤ 国の一般予算が承認されたときは、内閣は、当該会計年度の公費支出の増額又は歳入の減額を定めた内閣提出法律案を提出することができる。
⑥ 債権の増額又は予算収入の減額をともなう議院提出法律案又は修正案はすべて、その取扱いに際し、内閣の同意を必要とする。
⑦ 予算法により、租税を創設することはできない。実質租税法に規定があるときは、予算法により、租税を変更することができる。
第135条 [公債、債務契約]
① 内閣が公債を発行し又は債務契約を行うためには、法律による承認を必要とする。
② 国の公債の利子又は元金の支払いに充てるための債務契約は、常に、予算の歳出目録に含まれるものとし、公債発行法の条件に適合している限り、これを修正又は変更の対象としてはならない。
第136条 [会計検査院、検査官の独立・身分保障・兼職禁止]
① 会計検査院は、国及び公共部門の会計及び財務の最高監査機関である。
会計検査院は、直接国会に従属し、国の一般会計を検査及び確認するときは、国会の委任に基づいて、その職務を行う。
② 国及び国の公共部門の会計は、これを会計検査院に報告し、かつその検査を受ける。
会計検査院は、固有の管轄権を有するほか、国会に年次報告書を送付する。違反又は責任があると会計検査院が判断したときは、必要に応じて、これを年次報告書で報告するものとする。
③ 会計検査院の検査官は、裁判官と同様に、独立であり、かつ罷免されず、裁判官と同じ兼職禁止に服する。
④ 会計検査院の構成、組織及び職務は、組織法でこれを定める。
第8編 国の地方組織
第1章 一般原則
第137条 [市町村・県・自治州]
国は、領域上、市町村、県及び設置される自治州で、これを組織する。これらすべての団体は、各々の利益のための運営の自治を享受する。
第138条 [地域の連帯と平等]
① 国は、憲法第2条に定める連帯の原則の効果的な実現を保障し、スペイン領土の多様な諸地域間の適切かつ公正な経済的均衡の確立に配慮し、及び島嶼の問題状況にとくに留意する。
② 相異なる自治州の憲章間の相違は、いかなる場合にも、経済的又は社会的特権を意味するものであってはならない。
第139条 [すべての地域におけるスペイン人の平等、移転・定住・流通の自由]
① すべてのスペイン人は、国土のいずれの地域においても、同一の権利及び義務を有する。
② いかなる権力機関も、スペイン領土内における人の移転及び定住の自由並びに財物の自由な流通を直接的又は間接的に妨げる措置をとることはできない。
第2章 地方行政
第140条 [市町村の自治、市町村の統治・行政]
憲法は、市町村の自治を保障する。市町村は、完全な法人格を有する。市町村の統治及び行政は、市町村長及び市町村議会議員により構成される各市町村庁が、これを行う。市町村議会議員は、法律に定める形式により、普通、平等、自由、直接及び秘密の選挙を通じて、市町村の住民がこれを選挙する。市町村長は、市町村議会議員又は住民がこれを選挙する。公開の市町村議会制度が行われる条件は、法律でこれを定める。
第141条 [県、島嶼]
① 県は、固有の法人格を有する地方団体であり、市町村の集合及び国の活動を遂行するための地域区分により画定される。県境のいかなる変更も、組織法による国会の承認を必要とする。
② 県の統治及び自治行政は、県議会又は他の代議制機関に、これを付託する。
③ 県とは別に市町村の集合体を形成することは、これを認める。
④ 群島においては、各島はさらにカビルド等の島議会の形式による固有の行政府を有する。
第142条 [地方財政]
地方財政は、法律により各地方団体に付与された機能を遂行するために十分な資力を確保しなければならず、原則として、独自の租税並びに国及び自治州からの交付金をこれに充てるものとする。
第3章 自治州
第143条 [自治州の設置]
① 憲法第2条で認められた自治権の行使において、共通の歴史的、文化的及び経済的性格を有する隣接諸県、島嶼地域、及び歴史的地方団体を有する諸県は、自治を要求し、かつ、本編及び各自治憲章の規定に従って、自治州を構成することができる。
② 自治獲得のための発議権は、関係するすべての県議会又は当該島嶼間機関、及び、その人口が各県又は各島の選挙人の少なくとも過半数を占める市町村の3分の2に属する。これらの要件は、当該地方団体のいずれかによって自治を求める最初の決議が採択されてから6か月以内に、これを満たさなければならない。
③ 自治獲得のための発議が成立しなかったときは、5年を経過した後にのみ、再びこれを行うことができる。
第144条 [特別な場合の自治州設置に関する国会の権限]
国会は、組織法により、国家的利益を理由として、次の事項を行うことができる。
a) 地域的範囲が1県を超えず、第143条第1項の条件を満たしていない自治州の設置を承認すること。
b) 場合により、県組織に属さない地域について、自治憲章を承認し又は決定すること。
c) 第143条第2項に定める地方団体の発議権を代行すること。
第145条 [自治州連合の禁止、自治州間協定]
① いかなる場合にも、自治州連合は、これを認めない。
② 自治州独自の事業の運営及び給付のため、自治州相互間で協定を結ぶことができる場合、要件及び条件、並びに当該協定につき国会に提出する報告の性質及び効果は、自治憲章でこれを定めることができる。その他の場合には、自治州間の協力協定は、国会の承認を必要とする。
第146条 [自治憲章草案の起草]
自治憲章の草案は、当該諸県の県議会又は島嶼間機関の構成員並びに当該諸県選出の下院議員及び上院議員により構成される会議が、これを起草し、法律としての取扱いのため、国会に提出される。
第147条 [自治憲章]
① 自治憲章は、本憲法の枠内において、各自治州の基本的な制度規範をなすものであり、国は、その法秩序の一部をなすものとして、これを承認し、かつ保護する。
② 自治憲章は、次の事項を含むものでなければならない。
a) その歴史的アイデンティティに最もふさわしい自治州の名称。
b) 自治州の境界。
c) 独自の自治機関の名称、組織及び本拠地。
d) 憲法の枠内で自治州が引き受ける権限、及びこれに基づく事業の移管のための基礎。
③ 自治憲章の改正は、自治憲章に定める手続によるものとし、かつ、すべての場合において、組織法による国会の承認を必要とする。
第148条 [自治州の権限]
① 自治州は、次の事項につき、権限を引き受けることができる。
1 自治政府機関の組織。
2 自治州に含まれる市町村の境界の変更、及び、一般的には地方団体に関する国の行政に属し、地方制度に関する法律によりその移管が承認された機能。
3 地域整備、都市計画及び住宅整備。
4 自治州域内における、自治州の利益にかかわる公共事業。
5 路線が自治州全域に及ぶ鉄道及び道路、並びに同じ条件の下での鉄道、道路又は電線による輸送。
6 避難港、スポーツ用の港及び空港、並びに、一般に、商業活動が展開されない港及び空港。
7 全般的な経済計画に基づく農業及び牧畜業。
8 山岳及び森林利用。
9 環境保護に関する業務。
10 自治州の利益にかかわる水力、運河及び潅漑の利用に関する計画、建設及び開発。鉱泉水及び温泉水。
11 内水漁業、貝類の採取及び養殖、狩猟及び河川漁業。
12 自治州域内の市。
13 国の経済政策の目的範囲内における、自治州の経済発展の助成。
14 手工業。
15 自治州の利益にかかわる博物館、図書館及び音楽学校。
16 自治州の利益にかかわる記念的遺産。
17 文化、研究、及び場合により自治州言語教育の助成。
18 自治州域内における観光の振興及び整備。
19 スポーツ及び余暇の適切な利用の促進。
20 社会福祉。
21 保健及び衛生。
22 自治州の建造物及び施設の監視及び保護。組織法に定める条件の下での、地方警察に関する調整その他の権限。
② 5年を経過した後、自治州は、自治憲章の改正により、第149条の定める範囲内で、その権限を引き続き拡大することができる。
第149条 [国の排他的権限]
① 国は、次の事項につき、排他的な権限を有する。
1 憲法上の権利の行使及び義務の履行に際して、すべてのスペイン人の平等を保障する基本的条件を規制すること。
2 国籍、入国、出国、在留外国人の身分及び亡命庇護権。
3 国際関係。
4 防衛及び軍隊。
5 司法。
6 商法、刑法及び監獄法の制定。訴訟法の制定。但し、訴訟法については、自治州の実体法の特性から必然的に派生する特殊性を妨げるものではない。
7 労働法の制定。但し、自治州の機関によるその執行を妨げない。
8 民法の制定。但し、自治州に民法、特権法又は特別法が存在するときは、自治州がこれを存続、改正及び発展させることを妨げない。すべての場合における、法規範の適用及び効力に関する規定、婚姻の形式に関する民法上の関係、公的登録及び公文書の整備、契約債務の基礎、法律間の抵触を解決し及び法源を確定するための規範。法源の確定に際しては、特権法又は特別法の規範を尊重する。
9 知的所有権及び工業所有権に関する立法。
10 税関及び関税の制度。外国貿易。
11 貨幣制度、すなわち外貨、為替及び兌換制。信用、銀行及び保険の整備の基礎。
12 度量衡および標準時の決定に関する立法。
13 経済活動の全般的な計画の基礎及び調整。
14 国の一般財政及び国債。
15 科学技術研究の助成及び全体的調整。
16 検疫。保健の基礎及び全体的調整。薬品に関する立法。
17 社会保障に関する基礎法及び経済制度。但し、自治州がその業務を執行することを妨げない。
18 いかなる場合にも、公行政の前での被治者に対する共通の取扱いを保障する、公行政の法制度及び公務員の規律の基礎。一般行政手続。但し、自治州固有の組織に由来する特殊性を妨げない。強制収用に関する立法。行政上の契約及び特許に関する基礎法、並びに公行政全般にわたる責任制度。
19 海洋漁業。但し、この分野の整備につき自治州に付与された権限を妨げない。
20 商船及び船籍登記。海岸の照明及び海上信号。全体の利益にかかわる港。全体の利益にかかわる空港。空域管制、航空交通及び航空運輸、気象観測事業及び航空機登録。
21 1自治州を超える地域にわたる鉄道及び陸上運輸。通信制度全般。自動車交通。郵便及び電信。電線、海底ケーブル及び無線通信。
22 河川が1自治州を超えて流れている場合における、水資源及び水力利用に関する立法、整備及び特許、並びに、水力利用が他の自治州に影響を及ぼし又は電力輸送が州域を超える場合の、発電所設置の承認。
23 環境保護に関する基礎法。但し、環境保護のための追加的規範を制定する自治州の権限を妨げない。山岳、森林利用及び牧畜道路に関する基礎法。
24 全体の利益にかかわり、又はその実施が1自治州を超えて影響を及ぼす公共事業。
25 鉱山及びエネルギーの管理の基礎。
26 武器及び爆発物の製造、販売、所持及び使用の管理。
27 新聞、ラジオ及びテレビ、並びに、一般に、すべての社会的伝達手段の管理に関する基本的規範。但し、その具体化及び実施につき自治州に属する権限を妨げない。
28 スペインの文化的、芸術的及び記念的遺産を輸出及び略奪から保護すること。国立の博物館、図書館及び公文書館。但し、自治州がこれを管理することを妨げない。
29 公共の安全。但し、組織法の定める範囲内で各自治憲章に定められた形式において、自治州が警察を創設する可能性を妨げない。
30 学位及び専門的資格の取得、発行及び認定の条件に関する規制、並びに、憲法第27条の具体化につき、公権力の義務の履行を保障するための基本的規範。
31 国家目的のための統計。
32 国民投票を通じて民意を問うことの承認。
② 自治州が引き受けることのできる権限を除き、国は、文化事業を本質的な義務及び権限とみなし、自治州との合意の下に、自治州相互間の文化交流を促進する。
③ 本憲法により明示的に国の権限とされていない事項は、各自治憲章により、これを自治州の権限とすることができる。自治憲章により引き受けられていない事項に関する権限は、国の権限に属し、紛争が生じたときは、自治州に排他的権限が付与されていない事項については、すべて国の規範が自治州の規範に優先する。いずれの場合も、国法は自治州法を補完する。
第150条 [自治州に対する国の権限の委任、枠組法]
① 国会は、国の権限に属する事項につき、すべての自治州又は自治州のいずれかに対して、国法の定める原則、基礎及び方針の範囲内で、自ら法規範を制定する権限を付与することができる。裁判所の権限を除き、かかる自治州の法規範に対する国会の監督の方法は、個別の枠組法でこれを定めるものとする。
② 国は、組織法により、その性質上移譲又は委任が能な国の管轄事項に関する権限を、自治州に移譲又は委任することができる。財政手段の適切な移譲、及び国に留保される監督の方式は、各々の場合について、法律でこれを定める。
③ 国は、自治州の権限とされる事項であっても、全体の利益のため必要なときは、各自治州の規範を調和させるために必要な原則を定める法律を制定することができる。この必要性についての評価は、各議院の絶対多数により、国会がこれを行うものとする。
第151条 [自治州設置・自治憲章制定手続の特例]
① 自治州設置の発議が、第143条第2項に定める期間内に、当該県議会又は島嶼間機関に加え、関係する各県の各市町村の4分の3にして各県の選挙人の少なくとも過半数を占める市町村によって採択され、かつ、この発議が、組織法で定める条件の下に、住民投票において各県の選挙人の絶対多数の賛成により承認されたときは、第148条第2項に定める5年の期間は、これを経過することを要しない。
② 前項で定める場合には、自治憲章の制定手続は次のとおりとする。
1 内閣は、自治を求める地域に含まれる選挙区において選出されたすべての下院議員及び上院議員を召集する。これらの議員は、その絶対多数の同意により当該自治憲章草案を起草することのみを目的とする会議を構成する。
2 自治憲章草案は、国会議員の会議で可決されたときは、下院憲法委員会にこれを送付する。下院憲法委員会は、2か月以内に、起草会議の代表者の協力及び援助を得て、共同の議決により自治憲章の最終成案を決定するため、この草案を審議する。
3 前号の議決が得られたときは、最終成案は、起草された自治憲章の及ぶ地域に含まれる各県の選挙人の住民投票にこれを付する。
4 自治憲章草案が、各県において、有効投票の過半数により承認されたときは、これを国会に提出する。両議院の本会議は、承認の表決により条文を確定する。自治憲章が承認されたときは、国王はこれを裁可し、法律としてこれを公布する。
5 本項第2号の議決が得られなかったときは、自治憲章草案は、内閣提出法律案として、これを国会に送付する。国会において承認された成案は、起草された自治憲章の及ぶ地域に含まれる各県の選挙人の住民投票にこれを付する。各県の有効投票の過半数により、成案が承認されたときは、前号で定める方法により、これを公布する。
③ 前項第4号及び第5号の場合において、1県又は数県が自治憲章草案を承認しなかったときは、本条第1項にいう組織法に定める形式により、残りの各県で自治州を構成することを妨げない。
第152条 [自治州の機関、自治憲章の改正]
① 前条の手続により承認された自治憲章において、制度上の自治組織は、自治州立法議会、自治州内閣及び自治州首相に基礎を置く。自治州立法議会は、州域内の多様な地区の代表をも確保する比例代表制に基づいて、普通選挙によりこれを選挙する。自治州内閣は、執行権及び行政権を有する。自治州首相は、自治州立法議会がその議員のなかからこれを選出し、国王がこれを任命する。自治州首相は、自治州内閣を指揮する権限及び各自治州の最高代表権を有し、かつ、各自治州内においては国の通常代表権を有する。首相及び自治州内閣の構成員は、自治州立法議会に対し、政治的に責任を負う。
上級司法裁判所は、最高裁判所に属する管轄権を除き、自治州の領域内における司法組織の頂点に位置する。自治州領域内の司法管轄区域の組織に自治州が参画する場合及び形式は、各自治州の憲章でこれを定めることができる。これらはすべて、司法権に関する組織法の規定に従い、かつ司法権の一体性及び独立性の範囲内で、これを行うものとする。
第123条の規定にかかわらず、訴訟上の審級は、第1審の権限を有する機関の所在する自治州と同一の領域に存する司法機関において、終了する。
② 各憲章は、裁可及び公布された後は、憲章で定める手続により、かつ当該選挙人名簿に登載された選挙人の住民投票によってのみ、これを改正することができる。
③ 隣接する市町村をまとめ、憲章により、完全な法人格を有する独自の選挙区を設置することができる。
第153条 [自治州の機関に対する監督]
自治州の機関の活動に対する監督は、次のとおり、これを行う。
a) 法律の効力を有する規範の合憲性は、憲法裁判所がこれを統制する。
b) 第150条第2項にいう国から委任された機能の行使は、事前に枢密院の助言を得て、内閣がこれを監督する。
c) 自治行政及びその法規は、行政裁判所がこれを監督する。
d) 経済及び予算に関する事項は、会計検査院がこれを監督する。
第154条 [中央政府代表の自治州派遣]
内閣が任命する代表1名は、各自治州の領域内において、国の行政を指揮し、必要に応じて、自治州固有の行政との調整を行う。
第155条 [自治州に対する義務履行の強制]
① 自治州が、憲法若しくは他の法律により課せられた義務を履行せず、又はスペインの全体利益に著しく反する活動をするときは、内閣は、事前に自治州首相に対し要求を行い、これが留意されない場合には、上院の絶対多数の承認を得て、自治州に対しその義務を強制的に履行させるため、又はかかる全体利益の保護のために、必要な措置をとることができる。
② 前項で定める措置を実施するため、内閣は、自治州のすべての機関に対し、訓令を発することができる。
第156条 [自治州の財政上の自治権]
① 自治州は、国家財政との調和及びすべてのスペイン人の連帯の原則に基づいて、その権限の発展及び行使のため、財政上の自治権を有する。
② 自治州は、法律及び憲章に基づいて、国の租税財源の徴収、管理及び決済のため、国の受託者又は協力者として活動することができる。
第157条 [自治州の財源]
① 自治州の財源は、次に掲げるものでこれを構成する。
a) 国から全部又は一部支給される交付税。国税追徴金及びその他の国の財政交付金。
b) 自治州独自の租税、徴収金及び特別税。
c) 地域間補償基金の交付、及びその他の国の一般予算からの配分。
d) 自治州の財産より生ずる収益及び私法上の収入。
e) 債権による収益。
② 自治州は、いかなる場合にも、州域外に存する財産に課税し、又は商品若しくはサービスの自由な流通の障害となるような措置をとることができない。
③ 第1項に列挙された財政権限の行使、生じ得る紛争を解決するための規範、及び自治州と国との間の財政協力の可能な方式は、組織法でこれを定めることができる。
第158条 [自治州への交付金、地域間補償基金]
① 国の一般予算においては、自治州が引き受けた国の事業及び活動の量に応じて、また、スペイン全土にわたる基幹公共事業の役務提供における最低水準を確保するために、自治州への交付金を定めることができる。
② 地域間の経済的不均衡を是正し、及び連帯の原則を実効的たらしめるため、投資費用を目的とする補償基金を設置する。その資金は、国会により、自治州、及び場合により、県の間で、これを配分する。
第9編 憲法裁判所
第159条 [憲法裁判所の構成、同裁判官の独立・身分保障・兼職禁止]
① 憲法裁判所は、国王の任命する12人の裁判官でこれを構成する。このうち、4人は下院議員の5分の3の多数の議決により下院が推薦し、4人は同じ多数の議決により上院が推薦し、2人は内閣が推薦し、2人は司法総評議会が推薦する。
② 憲法裁判所の裁判官は、裁判官及び検察官、大学教授、公務員、並びに弁護士のなかから、これを任命する。裁判官はすべて、十分な学識を有し、かつ15年を超える専門職歴を有する法律家でなければならない。
③ 憲法裁判所の裁判官の任期は、9年であり、3年ごとにその3分の1を改選する。
④ 憲法裁判所の裁判官は、次の職務を兼ねることができない。すべての代表職。政治官職又は行政官職。政党又は労働組合の幹部職及び事務職。司法及び検察の職務の遂行、並びにすべての専門的又は商業的活動。
このほか、憲法裁判所の裁判官には、司法部職員に固有の兼職禁止規定が準用される。
⑤ 憲法裁判所の裁判官は、独立であり、かつ在任中罷免されない。
第160条 [憲法裁判所長官の任命]
憲法裁判所の長官は、同裁判所全体会議の推薦に基づき、同裁判官のなかから、3年の任期で、国王がこれを任命する。
第161条 [憲法裁判所の権限]
① 憲法裁判所は、スペイン全土に管轄権を有し、次の事項につき審理する権限を有する。
a) 法律及び法律の効力を有する規範に対する違憲の訴え。判例上解釈された法律の地位を有する法規範に対する違憲の宣言は、すでに下されている判決が既判力を失わずといえども、判例に影響を及ぼす。
b) 法律で定める場合及び形式に基づく、本憲法第53条第2項の権利及び自由の侵害に対する憲法訴願。
c) 国と自治州との間、又は自治州相互間の権限をめぐる争訟。
d) 憲法及び組織法で定めるその他の事項。
② 内閣は、自治州の機関が採択した規定又は決議につき、憲法裁判所に異議を申立てることができる。異議の申立により、当該規定又は決議は停止されるが、この場合に、憲法裁判所は、5か月を超えない期間内に、この停止を承認するか、又はこれを解除しなければならない。
第162条 [憲法裁判所への提訴資格、違憲の訴え、憲法訴願]
① 憲法裁判所への提訴資格者は、次のとおりである。
a) 違憲の訴えの提起については、内閣総理大臣、護民官、50人の下院議員、50人の上院議員、自治州の合議制執行機関、及び場合により自治州議会。
b) 憲法訴願の提起については、正当な利益を有するすべての自然人又は法人、並びに護民官及び検察官。
② その他の場合について、資格を有する人及び機関は、組織法でこれを定める。
第163条 [憲法裁判所への移送、違憲審査]
司法機関は、訴訟手続において、当該事件に適用される法律の地位を有する規範で、判決がその効力いかんにかかわっているものが、憲法に違反している可能性があると判断したときは、この問題を憲法裁判所に提起することができる。その条件、形式及び効果は、法律でこれを定め、いかなる場合にも、これを停止してはならない。
第164条 [憲法裁判所の判決の効力]
① 憲法裁判所の判決は、少数意見があるときはこれを付して、官報でこれを公示する。判決は、公示の翌日より確定力を有し、判決に対しては、いかなる抗告も行うことができない。法律又は法律の効力を有する規範の違憲性を宣言する判決、及び個人的権利の認容に限定されない判決は、何人に対しても完全な効力を有する。
② 判決に別段の定めのない限り、法律中、違憲とされなかった部分の効力は存続する。
第165条 [憲法裁判所法]
憲法裁判所の機能、その構成員に関する規律、裁判手続及び訴権行使の条件は、組織法でこれを定める。
第10編 憲法改正
第166条 [憲法改正の発議]
憲法改正の発議は、第87条第1項及び第2項に定める条件の下に、これを行う。
第167条 [通常の憲法改正手続]
① 憲法改正案は、各議院の5分の3の多数により可決されなければならない。両議院の間で合意が得られないときは、同数の下院議員及び上院議員で構成される委員会を設置して合意形成に努め、この委員会は、下院及び上院での表決に付するため、成案を提出する。
② 前項に定める手続により承認が得られない場合でも、成案が上院の絶対多数により可決されたときは、下院は、3分の2の多数により、改正を可決することができる。
③ 憲法改正が国会により可決された場合、可決後15日以内に両議院のいずれかの議員の10分の1が要求するときは、承認を得るため、これを国民投票に付する。
第168条 [憲法の全面改正等特別の場合の改正手続]
① 憲法の全面改正、又は序編、第1編第2章第1節若しくは第2編に関する部分改正が提案されたときは、各議院の3分の2の多数でその原則を可決し、直ちに国会を解散する。
② 新たに選出された両議院は、前項の決定を承認し、新憲法草案の調査を開始しなければならない。新憲法草案は、両議院の3分の2の多数により、これを可決することを要する。
③ 憲法改正が国会により可決されたときは、承認を得るため、これを国民投票に付する。
第169条 [戦時・非常時における憲法改正発議の禁止]
戦時、又は第116条で定める事態のいずれかが継続中のときは、憲法改正を発議することができない。
附則
第1 憲法は、特権を有する地域の歴史的な法を保護し、かつ尊重する。
かかる特権体制の一般的実現は、場合により、憲法及び自治憲章の範囲内でこれを行う。
第2 本憲法第12条に含まれる成年の規定は、私法領域において、特権法により保護された状況を妨げるものではない。
第3 カナリアス諸島の経済的及び財政的制度の変更には、自治州又は場合により暫定自治機関からの事前の報告を必要とする。
第4 1を超える地域裁判所がその本部を置く自治州においては、各自治憲章は、常に司法権に関する組織法の規定に従い、かつ司法権の一体性及び独立性の範囲内で、既存の地域裁判所の間で権限を配分し、これを存続させることができる。
経過規定
第1 暫定自治体制を与えられた地域においては、その最高合議制機関は、その構成員の絶対多数により採択された決議により、第143条第2項が当該県議会又は島嶼間機関に付与する発議権を代行することができる。
第2 過去に住民投票で自治憲章草案を承認したことがあり、かつ、本憲法公布の時点において暫定自治体制を有している地域は、その最高合議制自治予備機関が絶対多数により決定するときは、内閣にこれを通告して、第148条第2項で定める形式により、直ちに手続をとることができる。憲章の草案は、第151条第2項に定めるところに従い、合議制自治予備機関を召集して、これを起草する。
第3 第143条第2項に定める地方団体又はその構成員による自治手続の発議は、憲法が施行された後は、最初の地方選挙が行われるまで、全面的に延期されるものとみなす。
第4 ① ナバーラの場合、これをバスク政務院又はこれに代わるバスク自治体制に併合するためには、憲法第143条の規定に代えて、その発議権は当該地方機関に属するものとし、この機関が、その構成員の過半数により、併合の決定を採択する。この発議が効力を有するためには、さらに、当該地方機関の決定が、この目的を明示して公示された住民投票により、有効投票の過半数で承認されることを要する。
② この発議が成立に至らなかったときは、当該地方機関の別の任期において、かつ、すべての場合において、第143条に定める最低期間を経過した後においてのみ、再び発議を行うことができる。
第5 セウタ市及びメリージャ市は、各々の市議会がその構成員の絶対多数により採択した決議を通じてこれを決定し、かつ、国会が、第144条に定める条件の下に、組織法によりこれを承認するときは、自治州を構成することができる。
第6 複数の憲章草案が下院憲法委員会に送付されてきたときは、同委員会への到着順にこれを報告するものとし、第151条にいう2か月の期間は、同委員会が、順次取扱われた草案の調査を終えた日から、これを起算するものとする。
第7 暫定自治機関は、次の場合に、これを解消されたものとみなす。
a) 本憲法に基づいて承認された自治憲章に定める機関が構成されたとき。
b) 第143条に定める要件を満たさないため、自治手続の発議が成立に至らなかった場合。
c) 暫定自治機関が、経過規定第1で認められた権利を3年以内に行使しなかったとき。
第8 ① 本憲法を承認した両議院は、憲法が施行された後、本憲法が下院及び上院につき各々定める機能及び権限を引き受けるものとする。但し、いかなる場合にも、その任期は、1981年6月15日を超えてはならない。
② 第99条の規定に関し、憲法の公布は、これを同条が適用される場合とみなす。この目的のため、本条の規定を適用するに際しては、憲法の公布から30日の期間をあけるものとする。
この期間中、憲法に定める内閣総理大臣の機能及び権限を引き受ける現内閣総理大臣は、第115条が認める権限を行使するか、又は辞職により第99条の規定の適用を認めるかを選択することができる。後者を選択する場合には、内閣総理大臣は、第101条第2項に定める状況に置かれるものとする。
③ 第115条の規定に基づいて解散が行われる場合において、第68条及び第69条の規定が適法に実現しないときは、先に施行されていた規範を選挙に適用するものとする。但し、欠格事由及び兼職禁止については、憲法第70条第1項b)但書の規定を直接適用するものとし、また、選挙権年齢に関する憲法の規定及び第69条第3項の規定も同様とする。
第9 憲法裁判所裁判官の最初の選任から3年後に、任期を終えて改選の対象となる、選出母体を同じくする4人組の裁判官を、抽選により指名するものとする。この目的のためにのみ、内閣の推薦に基づく2人及び司法総評議会の推薦に基づく2人は、これを選出母体を同じくする組とみなす。さらに3年が経過したときは、前回の抽選に当たらなかった2組の間で、同様の手続をとるものとする。この時点から、第159条第3項の規定に従うものとする。
廃止規定
① 1977年1月4日付政治改革法、同法により廃止されていない以下の法律、すなわち1958年5月17日付国民運動原則法、1945年7月17日付スペイン人憲章、1938年3月9日付労働憲章、1942年7月17日付国会設置法、1947年7月26日付国家元首継承法及び1967年1月10日
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